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ゴミ箱に投げ損ねたモノ

思いついた短文を書いてそれを追っかけて小説書いていく感じです

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2026/06/13(Sat)15:50

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堕ちる

2008/08/27(Wed)23:58



いつかはその翼は堕ちるのだろう
そして私はその時を待っているの

地に落ちるその瞬間を




落下欲



風によって長い黒髪が舞った
ふわり、ひらり、と
髪と同じくして学校の制服のスカートも舞う
元々、スカートの丈は膝上10cm以上だから強風に舞う裾の高さは
もはや、下着を隠してなどいなかった

けれども、それは気に留めることではない
なぜなら、彼女のいる場所はとても高く
仮に見上げた人がいたとしても太陽による逆行で黒い何かがいるとしか認識できない
だからこそ彼女はスカートの裾を押さえるようなことをしなかったのだ

高層、とまではいかないにしろこの付近では一番高いビルの屋上
彼女は其処で見下げるわけでもなく見上げて青い、何処までも青い空を見ていた

何が恨めしいというのか、何か敵を見るような
何が羨ましいというのか、何か愛する人を見るような

何処か対をなした表情を浮かべて
けれどもその表情が無いようにも見える
表情があるような無表情であるような
はっきりと言えるのは彼女が何を考えているのか分からないということだけだった

「で。君は何がしたいのかい?」

屋上のビルへの入り口の扉がある箱の壁に寄りかかった男が問う
こちらの男も彼女同様、呆れたようなけど無感情のような対をなした声をして
眉間に皺を寄せたようにも見え、その皺など無いように見える顔をした

「別に」

彼女は問いにあくまでも簡潔に返した
答える間も表情は変わらない

「では、何の為に此処に来たというのだい?」

そこでやっと彼女は振り返った
けれど彼女は下から見る人同様に太陽と重なりほとんど黒い
何故か口元だけがよく見えて綺麗にグロスが塗られた唇が可笑しそうに歪められる

「私は翼を持っているの」

黒いけどね、と付け足して

「……」

男は何も言わない
絶対的な神の話を聞く哀れな人の子のように

「けど」

目を細めた、ような気がした

「いつかはその翼は堕ちるのだろう」

まるで自分の事ではないように
否、自分の事ではあるのだが彼女の見えぬ翼は自分のものではないように

「そして私はその時を待っているの」

強風が更に強くなって彼女の髪の毛は更に舞う
そのことによって彼女の顔は明るくなって
完全に、というわけではないが彼女の端整な顔が見えた

歪めて哂う目と口

「地に落ちるその瞬間を」

クスクス、と彼女は哂う
何が愉快というのか、誰にも分からない

「君が落ちるその時まで君の傍に居よう」

男は笑って言う

「君が落ちた無様な姿を最後の姿とし、君の傍から消えよう」

男も哂う

「……」

彼女は満足したのか
その舞台から降りた

帰る、と目で示して歩き出す

高層ビルの天使、…いや堕天使は一時舞台から降りる
まだ、人を騙していたいのだ、というように
まだ、人の姿を保っていたいのだ、というように

己を堕天使と知りながら天使と、人と偽り
その嘘が剥がれた姿を見られたくない、と

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